2015年9月3日木曜日

2015年のサロン・コンサートによせて

皆様、お健やかにお過ごしの事とお慶び申し上げます。

 今年も、2015年10月11日(日)に恒例のサロン・コンサートを、「ドイツへのどこでもドア」とも言える「高輪プリンセスガルテン」で開かせて頂く運びとなりました。 
去年は、誕生して間もない音楽ホール「アンビエンテ」でサロン・コンサートの演奏をさせて頂きましたが、会場が西欧の宮殿を連想させてくれるだけではなく、素晴らしい音響空間をも実現しており、驚きで一杯でした。

ホールの音響の秘密は、一本の大きな「クリスマスツリー」であると知った時、胸が熱くなりました。プリンセスガルテンのかつてのクリスマスショップのシンボル的存在であった、巨大なクリスマスツリーが、高さ約70cmの輪切りに姿を変え、それが77個も「アンビエンテ」のステージの中に敷き詰められているのです。長い年月、プリンセスガルテンの全てを見下ろし乍ら見守っていた、地下から1階の天井まで届きそうな大きなモミの木が、今度は下からこのホールの響を支えているのです。心から「有り難う」と言いたいです。

昔、樹木医さんから聞いたお話によると、木は切り倒されるまでに生きた年数と同じ時間を、切り倒された後も「生きる」そうです。つまり、樹木は寿命を2回、生きるのです。
人間にも動物にも真似の出来ない、神秘的な生命なのですね。

京都の古い寺院が幾度の地震にも耐え、1000年以上経つ今もそびえ立っていたり、数百年前に造られた有名なヴァイオリンが、今尚美しい音を奏でているのは、それらの建造物や楽器の年齢を軽く超える 樹齢の樹木が使われたからだそうですね。

高輪プリンセスガルテンの音楽ホール「アンビエンテ」での演奏会は、豊かな自然に囲まれたヨーロッパのお城の音楽祭で行なったリサイタルを想い出します。
お客様の皆様方にも、日本にいながらドイツのお城の音楽祭での1日を楽しんで戴ける事は、私にとって大きな喜びでもあります。

クラシック音楽のコンサートの起源は、ヨーロッパの王宮でのサロン・コンサートで、王族と貴族の前で、王様のお抱え演奏家達が行った“御前演奏会” なのです。
バッハ、モーツァルト、リストなども、宮廷で活躍した演奏家です。

10月11日は、当時の宮廷サロン・コンサートを再現致したく存知ます。
高貴な空間と、驚きの音響の中、選び抜かれたスタインウェイのまろやかな音色と伸びやかな歌いに、皆様のご臨席で華を添えて戴けましたら、最高に幸せでございます。
本年も「ドイツへの音楽の旅」並びに「ドイツの宮廷サロン・コンサート」への案内人を、演奏を通して努めさせて頂きたいと思います。

                                        2015年9月吉日 日本ベアタ・ツィーグラー協会

                                        藤原由紀乃